菅野勝一さん(長岡アジア映画祭実行委員会!)
「戦争はどこか遠い世界のできごとで、自分にはあまり関係のないことだと思っていました」
何度かこの文章が登場、意識的に強調されているように感じて読んでましたが、爆撃によって親友が亡くなったことで、主人公ももちゃんはこれが戦争だと実感してしまう。
http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-3370.html
↑こちらで紹介した柴田昌平監督が執筆した絵本『ももちゃんのピアノ 沖縄戦・ひめゆり学徒の物語』を、敢えて本日6月23日、肉体労働を終えて読みました。
こちらの絵本のイメージを覆す200ページ弱のわりとボリュームある1冊。
現在94歳になる元ひめゆり学徒隊の与那覇百子さんの証言も収めた、柴田監督の初監督作『ひめゆり』は2006年に完成。しかし映画が完成後も柴田監督は綿密に元ひめゆり学徒隊の言葉に耳を傾けた中で、ピアノを心の支えにしながら戦場を生き延び、今も仲間からももちゃんと呼ばれてる与那覇百子さんに着目、そのままノンフィクションとして貴重な記録になるところを敢えて子どもたちに知ってもらいたいと、絵本という形を取っていますが、時折かなり踏み込んだ場面も取り入れ、決して子ども向けと一概に言えない一冊という印象も。
「戦争はどこか遠い世界のできごとで、自分にはあまり関係のないことだと思っていました」
繰り返しになりますが、この文章はそのまま現在に生きてるこちらに突き刺さるほか、9歳の時に日中戦争が勃発、17歳の時に壮絶な沖縄戦を体験するももちゃんの話は、家庭、学校が次第に窮屈になり、社会がよくない方向へ変容していく空気が的確に読んでるこちらに伝わると同時に、今のこの時代はこの本の何ページの空気と一致するのではないか、などと読みながら戦慄さえ覚えたりしました。
とはいえももちゃんこと与那覇百子さんの言葉に耳を澄ました柴田監督が伝えたかったのは、
力強いメッセージ「生きろ」
生きたいと望んだ人々の代弁だと思った今日は6月23日。

「ももちゃんのピアノ」
ポプラ社刊
文 柴田昌平
絵 阿部 結