監督より

人類が連携して創り上げた陶磁器

きっかけは、5年前にフランスから届いた、ある陶芸アーティストの手紙だった。
「あなたと、陶磁器の歴史のドキュメンタリーを作りたい」
彼女は、僕の前作『千年の一滴 だし しょうゆ』をパリで観て、連絡をくれたのだった。
なぜ僕なの?
僕は陶磁器のこと全然知らなかったし。旅から旅の生活で、家も狭いし、器を置く場所がない。そもそも物欲がない。

「日本は土器の発祥地でもあり、土の種類も豊か。窯や作家の数も、世界的に見て、ずば抜けて多い。日本にない焼き物はなく、日本列島にはセラミックの歴史が凝縮しています。最新のファイン・セラミックだって、日本は最先端を走っています。日本にいるあなただからこそ、人類と陶磁器の歴史をひもとくドキュメンタリーが作れるはずです」

なるほど、確かに! 「マイカップ」を自宅や職場に置き大切にしている地域は、世界でも日本だけだといわれる。器に自分自身を重ね、まるで分身のように扱う僕たち日本人。そのDNAは、はるか縄文時代に遡るのだろう。

リサーチを進める中で、北京に、磁器で作った人形でアニメーションを作るアーティストがいることを知った。耿雪(Geng Xue ゴンシュエ)という若い作家だ。彼女に「陶王子」という器の妖精を作ってもらい、陶磁器の発展にあわせて陶王子が成長していく物語として、ストーリーを描くことにした。
中国やフランスに何度も通い、打合せを重ねた。

「陶王子」の声は、のん。あどけなさと高貴さを見事に表現してくれた。

「ナショナリズムに陥るな!」――― それが5年前にこの企画をスタートさせたときからのスタッフの合言葉だった。器=陶磁器は、洋の東西を行き来しながら、人類がみなで育ててきた文化だ。
この映画が分断する世界をつなぐ希望となることを願っている。

監督 柴田昌平

柴田昌平 略歴

1963年東京生まれ。映像作家。初監督作品『ひめゆり』(2006)は、キネマ旬報ベストテン文化映画1位など8冠を受賞。フランスとの国際共同制作ドキュメンタリー『千年の一滴 だし しょうゆ』はヨーロッパを中心に世界中で上映された。
ドキュメンタリーのテレビ番組も制作し、中国・四川テレビ祭 最優秀人類学賞を受賞したNHKスペシャル『クニ子おばばと不思議の森』は、焼き畑による森の循環と農家の暮らしを紡いだ異色作。NHKスペシャル『新シルクロード』シリーズでは企画立ち上げから関わり、「楼蘭」「天山南路」の2本を演出、NHKスペシャル『世界里山紀行』シリーズでは「フィンランド」を担当。いずれも海外で受賞をしている。
2001年から2002年にかけて文化庁の芸術家海外派遣研修制度で北京映画学院に留学、そのときのネットワークが中心となって、本作品の制作スタッフが組まれた。

2021年をこのポジティブな映画でスタートしたい

監督の柴田昌平さんから『陶王子』の完成間近のバージョンを見せて貰ったのは2020年の頭。まだまだ世界が変わる前。
「陶磁器」についての映画だと思っていたら、僕たち人類の探求心と進歩についての映画だとビックリして興奮したのを覚えています。

そして新型コロナウィルス ―――

いま改めて『陶王子』を思い起こすと、過去の人類の創意工夫、そしてしなやかな適応力って凄いな、と。でもそれ以上に、だから現在の僕たちも同じなんだよ、対応する力があるんだよ、と 2万年前から今までの人類すべてから激励を受けている気がする。
そう、今を生きる僕たちもきっと負けない、大丈夫だよ、と。

まだまだ不安を感じる人たちや、一変した世界にもどかしい思いが続いている人たちも多いと思う。だからこそ2021年の幕開けに、この希望に満ちた『陶王子』を上映出来ることが嬉しいし観て欲しい。
そして、僕が受け取った勇気を共有して貰えたら、尚嬉しい。

ポレポレ東中野 支配人
大槻貴宏

出演&スタッフ

5か国のスタッフ・出演者によって製作されました

人形アニメーション

耿雪 Geng Xue ゴン・シュエ
(北京・中央美術学院 講師)
人形は中国を代表する若手アーティスト、耿雪 Geng Xueが製作し、 アニメーションは、耿雪と、パートナーの甘浩宇が創りました。
耿雪 Geng Xueは、1983年に中国・吉林省で生まれ、北京の中央美術学院で陶磁器の制作を学びます。 2014年に大学院の卒業制作で作った陶磁器による人形アニメーション《海公子》(英題:Mr Sea)で世界の注目を集めます。柴田昌平監督が耿雪に連絡を取るきっかけも、YouTube上にあった《海公子》のトレーラーを観たことがきっかけでした。
耿雪は、2019年のヴェネツィア・ビエンナーレに中国を代表するアーティストとして参加しています。 .

陶王子の声

のん

その他の出演・スタッフ

【出演】※出演順
熊谷幸治(陶芸家 武蔵野美術大学講師 土器の始原の研究)
宮尾 亨(考古学者 新潟県立歴史博物館 学芸員 火焔土器研究)
横石臥牛(長崎 現川焼作家 故人)
谷川菁山(愛知 常滑焼作家 故人)
加藤宏幸(京都 祇園の料亭「川上」主人)
小泉龍人(考古学者 メソポタミア考古学教育研究所代表)
任 星航(陶芸家 中国陶磁工芸美術大師=中国の人間国宝)
ティエリー・ヴォワザン(帝国ホテル メインダイニング「レ・セゾン」シェフ)
山花京子(考古学者 東海大学准教授 エジプシャン・ファイアンス研究)

【スタッフ】
プロデューサー
大兼久由美(プロダクション・エイシア)
牧野望(NHKエデュケーショナル)
齊藤倫雄(NHK・TV版)
吉沢朗(NHK・国際共同制作コーディネート)
取材 Mary Louise Degonde
音楽 Dan Parry
中国ロケ共同ディレクター 侯新天
撮影監督 毛継東
撮影 川口慎一郎・楊倩・楊松柏
美 術 今井加奈子
ポスターデザイン 市川千鶴子
編 集 高橋慶太
音響効果 鈴木利之
音声 柳田敬太
映像技術 北澤孝司
英語版制作 Jeffrey Irish
英語版助手 Angie Sinicyaya Sugitani
広 報 松井寛子・飯塚タイタン・羽賀美由紀・若林 晋・kiko

上映情報



地域 会場日時
東京 新宿・野鳥の森シアター
 (東京都 新宿区下落合4-8-30
2025年1月4日(土)「陶王子 2万年の旅」4周年特別記念上映!
【上映時間】
        14時〜
        全15席 予約推奨

         ※ 監督来場!アフタートークイベント開催!
         ※ 映画に登場した陶王子人形、野鳥の森シアターに1日限りの来場!


【お問い合わせ】
        新宿・野鳥の森シアター
        メール:yacho.shinjuku@gmail.com
東京 新宿・野鳥の森シアター
 (東京都 新宿区下落合4-8-30
2024年9月16日(月・祝)
【上映時間】
        11時〜    『陶王子 2万年の旅』
        13時30分〜    『百姓の百の声』(柴田昌平監督 最新作)

【お問い合わせ】
        新宿・野鳥の森シアター
        メール:yacho.shinjuku@gmail.com

    ※柴田昌平監督最新作『百姓の百の声』も同日上映、併せてご覧ください。
(それぞれに料金がかかります)
東京 新宿・野鳥の森シアター
 (東京都 新宿区下落合4-8-30
2024年4月14日(日)
【上映終了】
【上映時間】
        11時〜    『陶王子 2万年の旅』
        13時45分〜    『百姓の百の声』(柴田昌平監督 最新作)

【お問い合わせ】
        新宿・野鳥の森シアター
        メール:yacho.shinjuku@gmail.com

    ※柴田昌平監督最新作『百姓の百の声』も同日上映、併せてご覧ください。
(それぞれに料金がかかります)
東京 新宿・野鳥の森シアター
 (東京都 新宿区下落合4-8-30
2024年3月17日(日)
【上映終了】
【上映時間】
        11時〜    『陶王子 2万年の旅』
        13時45分〜    『百姓の百の声』(柴田昌平監督 最新作)

        ※各回上映後、柴田昌平監督または大兼久由美プロデューサーのトークがあります。

【お問い合わせ】
        新宿・野鳥の森シアター
        メール:yacho.shinjuku@gmail.com

    ※柴田昌平監督最新作『百姓の百の声』も同日上映、併せてご覧ください。
(それぞれに料金がかかります)
    ※2本ご鑑賞の方には、軽食のおにぎりをご用意いたします。
地域 会場日時
福島 郡山市立美術館
(福島県郡山市安原町字大谷地130-2)
【上映終了】
2024年3月16日(土)
【上映時間】
        14時~

【お問い合わせ】
        郡山市立美術館
        TEL:024-956-2200
        メール:bijutsukan@city.koriyama.lg.jp
        ホームページ:https://www.city.koriyama.lg.jp/site/artmuseum/100703.html
        詳細情報:案内チラシPDF
北欧デザインをテーマにした企画展「ロイヤル コペンハーゲンと北欧デザインの煌めき」に合わせやきものの歴史をたどり人類史をめぐる壮大な映画『陶王子 2万年の旅』をご覧いただくことで、出品作品の魅力をより深くご紹介します。
地域 会場日時
東京 東京都埋蔵文化財センター
(東京都多摩市落合1-14-2)
【上映終了】
2024年2月3日(土)
【上映時間】
        13:30~

【お問い合わせ】
        申し込みは1月15日必着です

        主催:東京都埋蔵文化財センター
        TEL:042-373-5296
        メール:maibun-kouhou@tomaibun.jp
        詳細情報:案内チラシPDF
                                申し込み方法など(東京都埋蔵文化財センター)
本物の縄文土器などを多数展示している博物館で上映します。映画を観てから土器を見るも良し、土器を見てから映画を観るも良し、当館でしか味わえない「陶王子」体験をお楽しみください。上映終了後には、土器の歴史に関するミニ展示解説会も予定しています。
地域 会場日時
兵庫 宝塚市東公民館セミナー室
(宝塚市山本南2丁目5-2)
【上映終了】
2024年1月27日(土)
【上映時間】
        14:00~、17:30~

【お問い合わせ】
        主催:宝塚99%の会
        TEL:0797-89-4801
        携帯:090-3053-6880(加納)
        メール:k.925kano@angel.ocn.ne.jp

        facebook
国境、人種、政治体制を超えて人類が作り上げてきた陶器・セラミックの歩みを国際的な協力によって出来た映像を通して知ることで、より広く、柔軟に、豊かに、平和な未来を築くきっかけとなるような、新しい年のスタートにふさわしい市民の上映会にしたい。
地域 会場日時
神奈川 シネマ・ジャック&ベティ
(横浜市中区若葉町3-51)
【上映終了】
2022年12月10日(土)~16日(金)
1週間限定
【上映詳細】
        10:50~

        ★12月10日(土)、11日(日)監督の舞台挨拶あり

【お問い合わせ】
        シネマ・ジャック&ベティ
        TEL:045-243-9800

        facebook


自主上映会の受付を始めました

映画 『陶王子 2万年の旅』は、皆さまの手で上映することができます。 仲間で鑑賞したい、陶芸教室で上映したい、など市民や団体、学校による上映会の申し込み受付を開始しました。
皆様の町や村で、学校で、職場や仲間での上映会を企画して下さる方のご連絡をお待ちしています。詳しくはお問い合わせください。

上映媒体 基本上映料 備考

DVD

ブルーレイ
基本料金7万円+消費税
(100人まで)

 ※101人目からは
  おひとり500円(+税)

 ※上限は、15万円 (+税)

1日何回でも上映できます。

 複数日にわたる上映は
 ご相談ください。

  • ◎カフェや陶芸教室など30人以下の会場で、小規模の上映をご検討の場合は 別途ご相談ください。
  • ◎「上映料金」は映画の貸し出し料です。機材は上映団体でご用意ください。
  • ◎固定料金をご希望の方(自治体など)は、別途、ご相談ください。
  • ◎DVD・ブルーレイの発送、返却時の宅急便代、上映料金の振込手数料はご負 担ください。
  • ◎公式チラシ、ポスターを販売しています。上映会の宣伝にご利用ください。
  • ◎皆さまがチラシを独自に作ることもできます。チラシ制作に必要な画像デー タは無料で提供いたします。この場合は事前に内容を確認させてください。
  • ●お申込み前のお願いとご注意
    上映予定日、上映地域が他の団体と近い場合は、申し込みの早い団体を優先させていただきます。日程調整が必要になる場合がありますので、会場を予約される前に、上映候補日を必ずご相談ください。

お問い合わせ窓口
プロダクション・エイシア (映画 『陶王子 2万年の旅』 配給)
担当: 大兼久(おおがねく)
〒202-0015 東京都西東京市保谷町2-7-13
TEL:042-497-6975
FAX:042-497-6976
メール:ceramic@asia-documentary.com

終了した上映

地域 会場期間    上映会詳細
札幌 サツゲキ2021年4月23日〜5月6日
※4月28日&29日  監督舞台挨拶 
青森 シネマディクト2021年5月29日〜6月4日
※トークイベント
5月29日 今井理桂さん(津軽烏城焼)×  監督
5月30日(日)一戸広臣さん(津軽亀ヶ岡焼しきろ庵)・川嶋大史さん(つがる縄文の会)×  監督
司会:福士珠美さん (ブルーリンクプロジェクト)
コンシェルジュ:峯尾泰子さん (ANA あきんど)
主催:高木まゆみさん(また旅くらぶ)
青森 フォーラム八戸2021年5月28日〜6月10日
岩手・宮古市 シネマ・デ・アエル2022年10月1日、2日
優秀ドキュメンタリー特集@シネマ・デ・アエル 10/1(土)~2(日)
山形 フォーラム山形2021年3月5日〜3月11日
※3月6日&7日  監督舞台挨拶
仙台 フォーラム仙台2021年1月22日〜2月4日
福島 フォーラム福島2021年6月18日〜6月24日
新潟 シネ・ウインド2021年4月24日〜5月7日
※トークイベント
4月24日 菅野勝一さん(長岡・市民映画館をつくる会)×  監督
4月25日 宮尾亨さん(新潟県立歴史博物館)×  監督
新潟 長岡・アジア映画祭2021年10月30日(土)
※宮尾亨さん(考古学者 新潟県立歴史博物館 学芸員 火焔土器研究)×  監督のトークショー
新潟 高田・世界館2021年10月30日〜11月12日
※10月31日(日) 齋藤尚明さん(上越在住陶芸家)×  監督のトークショー
群馬 シネマテークたかさき2021年12月4日〜12月10日
※12月4日(土)吉井美晴さん(matka)×  監督のトークショー
東京 ポレポレ東中野2021年1月2日〜4月2日

※トークイベント多数
東京 ヒューマントラストシネマ有楽町2021年1月2日〜1月14日

※トークイベント多数
東京 シネマ・チュプキ・タバタ2021年6月3日~1月18日
 ※6月5日&6日  監督舞台挨拶
東京 練馬区立南田中図書館2022年7月16日
東京 江戸川区 小松川区民館 2Fホール2022年10月8日
上映終了後監督挨拶
神奈川あつぎのえいがかん kiki2021/02/13~2021/02/26
※2月13日&14日  監督舞台挨拶
神奈川 シネマ・アミーゴ2021年10月3日〜10月16日
※10月3日  監督舞台挨拶
神奈川 シネマ・ジャック&ベティ2022年12月10日(土)~16日(金)
※12月10日(土)、11日(日)監督の舞台挨拶
長野 長野相生座・ロキシー2021年7月24日~8月5日
※トークイベント
7月24日(土)13:30~の上映後
唐木田伊三男さん(信州松代焼窯元 唐木田窯)×  監督
7月25日(日)13:30~の上映後
角居康宏さん(金属造形作家)×  監督
名古屋 名古屋シネマテーク2021年1月2日〜1月22日
※1月3日  監督舞台挨拶
岐阜 岐阜市文化センター(ぎふアジア映画祭2022年10月9日
静岡 藤枝市 藤の瀬会館2022年9月11日
富山 ほとり座2021年1月2日〜1月8日
富山 ダフレンズ×ほとり座2021年2月6日~2月19日
京都 MOVIX京都2021年1月29日~2月10日
京都 京都シネマ2021年4月16日~4月16日
※トークイベント
4月17日 料理研究家・大原千鶴さん  ×  監督
4月18日 陶芸家・土渕善亜貴さん  ×  監督
大阪 第七藝術劇場2021年1月16日~2月12日
※トークイベント
1月16日 越智裕二郎(大谷美術館館長)さん×  土渕善亜貴さん(陶芸家)  ×  監督
1月17日 加藤宏幸さん(祇園料亭川上主人)×  監督
大阪 シアターセブン2021年4月10日~4月23日
兵庫 元町映画館2021年4月17日~4月23日
広島 八丁座2021年3月12日~3月25日
※OL舞台挨拶 3月13日
広島 シネマ尾道2021年5月15日~5月25日
※トークイベント
5月15日(土)ヴィヴィアン佐藤さん  ×  監督
5月16日(日)ヴィヴィアン佐藤さん  ×  監督
山口 萩ツインシネマ2021年10月23日~11月19日
※トークイベント
10月23日 萩焼の止原理美さん  ×  監督
10月23日  監督舞台挨拶
山口 YCAMシネマ2022年6月8日〜13日
福岡 KBCシネマ2021年1月29日~2月4日
佐賀 シアターエンヤ2021年4月23日~5月6日
※トークイベント
5月4日 岡本作礼さん(陶芸家)×  監督
大分 シネマ52021年4月3日~4月9日
※トークイベント
4月3日 陶芸家・橋本尚美さん  ×  監督
   シネマ5支配人田井さん  ×  監督
4月4日 陶芸家・北村忠裕さん  ×  監督
鹿児島 ガーデンズシネマ2021年3月27日~4月1日
※トークベント「器の旅を語る」
3月27日 沈壽官さん  ×  監督
3月28日 深港恭子さん(黎明館)×  監督